こんにちは、防災母さん & 防災父さんです!
・防災士の資格を取るには何から始めればいい?
はじめて防災士の資格を取ろうと考えた方は、何から手を付けたらいいか分かりませんよね。
私も最初はそうでした。
そして、資格の主催元を探し、そのホームページを見ながら、
・防災士って何?
・どんな仕事をするの?
・稼げるの?
・どこで試験があるの?
・試験は難しいの?
・試験勉強はどうしたらいいの?
・合格したら何するの?
・どうやって活かしたらいいの?
:
といった疑問を調べて行くと、難しくて曖昧な説明がされていて、何となく納得できなかったりします。
特に、資格取得の勉強方法については書いてありませんし、資格を取った後の活かし方については、模範的なケースの説明が多いので、気後れしてしまいます。
そこで、ここでは、これから防災士になろうとする方に、資格の取り方から活かし方まで、現実的な視点に立って、なるべく具体的に、簡単な言葉で分かりやすくご説明します。
これを一通り読んでおけば、サクッと全体像をつかむ事ができ、資格取得と活用について「気負わず」対応できるようになるでしょう。
それでは、早速、行ってみましょう!
防災士とは?
防災士って何?
まず、「防災士」という言葉を始めて聞いた方には、そもそも、
・防災士って何?
という疑問があると思いますので、そこからご説明します。
「防災士」は民間資格で、国家資格ではありません。
「特定非営利活動法人 日本防災士機構」という民間団体が認証している資格です。
何やら難しそうな団体名ですね。(笑)
「防災士」という名称の末尾に「士」と付くことから、
・「司法書士」
・「行政書士」
・「介護福祉士」
:
などのような、資格を持って何か特別な仕事をする人かと思いますよね。
でも、ちょっと違います。
「司法書士」などは国家資格で、資格がないとできない仕事(独占業務)があるので、資格を取れば稼ぐことができます。
しかし、「防災士」は民間資格で、独占業務がある訳ではないので、資格を取っても稼ぐことはできません。
独占業務がない民間資格という意味では、「英検○級」などの資格と同じ感じですね。
「防災士」、「司法書士」、「英検」を比較するとこんな感じです。
防災士 | 司法書士 | 英検 | |
---|---|---|---|
資格認定者 | 民間 | 国 | 民間 |
独占業務 | なし | あり | なし |
稼げるか | × | ○ | × |
防災士って何する人?
仕事をする人ではないのは分かったけど、それじゃあ、
・防災士って何する人?
となりますよね。
日本防災士機構のホームページには、「防災士の基本理念」と題して、以下のように定義されています。
防災士の基本理念
防災士とは“自助”“共助”“協働”を原則として、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、
そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを、日本防災士機構が認証した人です。1. 自助ー自分の命は自分で守る。
日本防災士機構ホームページより
2. 共助ー地域・職場で助け合い、被害拡大を防ぐ。
3. 協働ー市民、企業、自治体、防災機関等が協力して活動する。
防災の勉強をこれから始める方からすると、見慣れない言葉が多いし、曖昧で理解不能ですよね。(笑)
ここで、黄色のアンダーラインの部分だけ繋げてみると、以下のようになります。
「防災士とは、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得した人です。」
大分、読み易くなりましたね。
でも、「社会の様々な場」ってどこ?となりますよね。
そこで、防災士の活躍の場とされる「自宅、地域、職場」と読み替えると、次のようになります。
「防災士とは、自宅、地域、職場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得した人です。」
最後に2つに分けて箇条書きにしてみると、
防災士とは、
① 自宅、地域、職場で防災力を高める活動が期待された人
② そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得した人
となります。
これで、なんとか頭に入るようになりましたね。
誤解を恐れずに、超簡単にまとめると、
「防災の知識・技能を身につけ、(防災士機構が)身近なところで防災活動を期待する人」
ということですね。
えっ?たったそれだけ?と、ちょっと拍子抜けしてしまいますが、それだけです。(笑)
防災士に義務はある?
では、防災士になると、何かやらなければならないことがあるのでしょうか?
既にお分かりのように、防災士は「期待」されるだけで、「義務」はなく「権利」もありません。
つまり、防災士の資格を取ったからといって、何かやらなければならないということはありません。
ではどうすれば良いかというと、資格取得を通して学んだことを元に、自宅、地域、職場等で、自分のできる範囲でより良い防災活動をしていけば良い、ということになります。
なので、「防災士の資格を取る」=「防災に関する勉強をする」くらいに考えておくのが、一番しっくりくると思います。
ここで過大評価してしまうと、後々、現実とのギャップに苦しむ事になります。
仕事ではないけれど、自分のため、地域のため、職場のために防災活動で役立つ知識を身に付けるものですね。
防災士になるには?
では、防災士の資格を取って防災士になるにはどうしたら良いでしょうか。
防災士の資格を取る方法は、人により以下の2つに分かれます。
✔︎ 特例制度が適用される人
✔︎ 特例制度が適用されない一般の人
以下、順番に説明しますね。
特例制度が適用される人
少数ですが、以下に示す一部の方は、特例として、講習や試験が免除されます。
・警察官
・消防団員
・消防吏員(りいん)(≒消防士)
・自衛官
・日本赤十字社員
長年”プロ”としてこういったお仕事をされてきた方は、防災知識は豊富に持たれており、改めて防災士の講習や試験を受けるまでもないということですね。
なので、まずは、ご自身が特例に該当しそうな方は、防災士機構のこちらのページ で確認しましょう。
該当する場合は、所定の申請書で、講習と試験の免除を申請しましょう。
この特例は自動的に適用されることはありません。自己申告制なので、該当する方で特例を受けたい場合は、自分で申請しなければなりません。
特例に該当しない方や、該当はするが改めて勉強したいので申請はしない、という方は、次に説明する一般受験となります。
特例制度が適用されない一般の人
特例制度が適用されない一般の人は、以下の手順で防災士になることができます。
ステップ1
日本防災士機構が認証した研修機関が実施する「防災士養成研修講座」を受講し、「研修履修証明」を取得する。
ステップ2
日本防災士機構が実施する「防災士資格取得試験」を受験し、合格する(受験料=3,000円)。
ただし受験資格は防災士研修講座の履修証明を取得した者に限る。
要するに、「研修講座」を受け、「試験」を受けるということですね。
研修講座はどこで受ける?
では、「防災士養成研修講座」はどこで受ければ良いでしょうか?
「防災士養成研修講座」はどこでも受けられるものではありません。
特殊な試験のため、「防災士機構が認証した研修機関」でしか受けられません。
「防災士機構が認証した研修機関」は、次の3種類に分類されます。
✔︎ 自治体(都道府県、市区町村)
✔︎ 大学等教育機関
✔︎ 民間法人
それぞれの具体的な研修機関名は、防災士機構のこちらのページに掲載されていますので、確認してください。
自治体について
自治体で受講する場合は、助成金(一部または全額)が出るところがありますので、事前に確認しておきましょう。
大学等教育機関について
大学等については、自校の学生や教職員に対して講座を開催しているところと、自治体と一体となって地域住民に対して開催しているところがあります。
自分の地域の自治体と大学がどちらに該当するかは調べてみましょう。
大学内で講座が開催されているところは、学費に含まれているか確認しましょう。
民間法人について
民間法人は4社ありますが、実質的に一般向けに運営されているのは「防災士研修センター」と「NTTエクシーパートナー」の2社だけです。
また、NTTの方は、受講制限はないものの、企業研修の色合いが濃くなっています。
なので、一般の個人の方で民間法人で受ける方は、防災士研修センターを選択するのが普通です。
実際、防災士を取得する人の約半数は防災士研修センターで受講しているというほどメジャーです。
受講費用は高いですが、2日で済みますし、試験対策ブックも付いてくるというメリットがあります。
割引・補助・手当について
講習の受講にあたり、学生の方は、学割が効く場合がありますので、事前に確認しましょう。
また、職場の研修として受講を勧められた方は、職場で費用が出るところもあるようですので、良く確認しておきましょう。
あと、防災関連の職場の方は、合格後に資格手当が出るところもあるようですので、確認しましょう。
防災士になろう!
一通り確認が終わったら、いよいよ防災士の講習に申し込みましょう。
受講する研修機関を決めましょう
これらの中から、自分が受講できそうな研修機関をピックアップし、費用や開催スケジュールなどを見比べて決めましょう。
ちなみに、筆者は、愛知県と名古屋大学が合同で開催している「愛知県防災・減災カレッジ」で受講しました。
「防災士研修センター」で名古屋開催の講習もありましたが、内容と値段を比較して決めました。
詳しい内容は以下の記事で紹介していますので、よろしければ参考にしてください。
研修に申し込みましょう
研修機関が決まったら、早速申し込みましょう。
申し込みが終わると、講習開始1ヶ月~3週間前に以下の教材が送られてきます。
✔︎ 防災士教本(A4サイズ、300ページ超の分厚い教科書)
✔︎ 履修確認レポート(防災士教本の穴埋め問題)
また、防災士研修センターで受講される場合は、以下の問題集も送られてきます。
✔︎ 防災士試験対策ブック
どこで受講するにしろ、まずは、防災士教本を読みながら、履修確認レポートをやって、講習初日に提出することになります。
履修確認レポートは、防災士教本の重要な箇所が穴埋め問題になっているもので、防災士教本を読みながら埋めて行けば、さほど難しくはありません。
講習を受けましょう
「防災士養成研修講座」は各分野の専門家が登壇して、防災活動について詳しく説明してくれるものです。
防災の第一線で活躍されている方から興味深い話が聞けますので、これだけでも参加した甲斐がある内容です。
研修の費用が高いなぁと思いますが、専門家の先生方への謝礼に費用がかかるから仕方がないかなと思います。
なお、「防災士養成研修講座」ってどんな感じか事前に知っておきたい方は、こちらも参考にしてください。
試験問題は何から出題される?
「防災士養成研修講座」の講義の内容は試験には出ません。
何故なら、日本全国の自治体や大学などで開催される講習の内容は、防災士機構によって大体きめられていますが、具体的には、自治体や大学など、講習の開催者によって異なるからです。
その地方・地域にとって重要な災害対策や、主催者の考え方により、講習会に違いが出て来ます。
一方、試験というものは日本全国の受験者全員に対して共通の尺度によって合否を判定しなければなりません。
そのため、防災士の試験は、防災士の教科書である「防災士教本」から出題されます。
なお、防災士研修センターなど、多くの場合、講習2日目の最後に試験があります。
このように、講習の後に続けて試験がある場合は、講習のはじまる前に試験勉強をやっておく必要があります。
試験勉強をやりましょう
基本、教材は「防災士教本」「履修確認シート」の2つですが、防災士研修センターで受講される方は「試験対策ブック」もあります。
防災士研修センターで受講される方は、試験対策ブックを事前にやっておくのが前提です。
自治体や大学等で受講される方で、試験対策の問題集がない方は、市販の過去問などの問題集を使って準備しておきましょう。
なお、市販の問題集やアプリについては、こちらを参考にしてください。
防災士の試験対策に使える問題集はこちらを参考にしてください。
防災士の過去問をアプリで勉強する方法はこちらを参考にしてください。
「防災士試験対策ブック」の入手方法はこちらも参考になります。
防災士教本や履修確認シートの暗記に使えるアプリについてはこちらで紹介しています。
おすすめの無料アプリについはこちらを参考にしてください。
試験を受けましょう
自治体や大学等で試験を受ける場合は、その指示に従って受験します。
ちなみに「愛知県防災・減災カレッジ」の場合は、講習は夏と冬のどちらかを選ぶ2期制になっており、試験は2月に両方まとめて実施されます。
なので、夏に講習を受けた人は、2月の試験まで半年近く試験勉強ができます。
一方、先に書いたように、防災士研修センターの場合は、2日目の講習の後に試験があります。
防災士試験は50分間、試験は3択問題で全部で30問あり、そのうち8割の24問以上正解すれば合格です。
試験結果は、1カ月ほどすると自宅に郵送されてきます。
防災士試験の合格率は?
日本防災士機構のホームページには以下のように合格率が公開されています。
2023年度、防災士資格取得試験合格率の集計結果は92%となりました。
日本防災士機構のホームページより
防災士試験は、防災士教本を読みながら履修確認レポートをやり、試験勉強をして防災士養成研修講座を受け、試験を受ければ、大体は受かります。
もし不合格となっても、再度無料で受験できます。
「防災士資格”取得”試験」という名称になっていることからも分かるように、試験で振るい落とすことが目的ではなく、できるだけ多くの人に「取得」してもらうことが目的なので、ほとんどの人が合格できるようになっていると思われます。
しかし、ほとんど受かるからと言って何もしていないと不合格となる人も一定数います。
上記から「2023年度の合格率92%」=「不合格率8%」とも言えます。
ただこれは、再試験で受かった人も含めた年間の最終的な合格率なので、1回目の試験だけで言えば、もっと多くの人が不合格になっていると考えられます。
防災士教本や過去問を見るとわかりますが、初学者が何も勉強せずに合格できるほど、簡単な内容ではありません。
ですが、真面目に何度かやっておけば、誰でも理解して解ける問題になっています。
なので、恐れる必要はありませんが、決して甘く見ずに、しっかり試験対策をしておくのが得策です。
なお、防災士試験の勉強法は人それぞれですが、こちらも参考にしてください。
救急救命講習を受けましょう
防災士になるには、試験の合格に加えて、実技として、普通救急救命講習を受ける必要があります。
心肺蘇生(胸骨圧迫、心臓マッサージ)やAEDの使い方などの実技指導があり、最後にテストもあります。
普通救命講習と上級救命講習がどのような内容かについては、こちらを参考にしてください。
合格したら登録しよう
合格通知が届いたら、日本防災士機構に認証登録申請をしましょう。
日本防災士機構で防災士台帳に登録されると、防災士になります。
登録後に「防災士認証状」と「防災士証(カード)」が自宅に送られてきます。
なお、地元の防災士会への入会案内も来ますので、興味かあれば入会しておくと、情報や人とのつながりが得られるでしょう。
防災士の資格を取ったら?
防災士としての活動は?
防災士の資格を取ってからの活動は、
① 自分や家族のために防災対策を進める人
② 地域の自主防災組織や消防団などで活躍する人
③ 職場で防災対策を推進する人
など、人それぞれかと思います。
ただ、防災士に義務はありませんので、こういった活動をしてもいいですし、特段、何もしなくても大丈夫です。
冒頭で申し上げたように、民間資格なので、英検と一緒ですからね。
ちなみに筆者は①のタイプで、普段は仕事や子育てで忙しいので、自分と家族を災害から守ることが最大のテーマ・関心事です。
具体的には、自宅において、食料や防災グッズの備蓄、家具転倒防止などの対策を進めています。
地域や職場では特に活動はしてませんが、もしもの時には多少貢献できるかなと考えています。
また、このブログも微力ながら皆さまのお役に立てれば幸いです。
仕事に活かすには?
防災士の資格を仕事に活かしたいという方もいらっしゃるでしょう。
防災士は民間資格で、独占業務はありませんので、資格を取ったからと言って仕事に就けるというものではありません。
ただ、防災は全ての業界に役に立つ内容なので、どこの職場でも活かすことはできます。
メインの仕事 + 防災士
とすると仕事に活きてきます。
現在お仕事をして収入を得ている方は、その職場で活かすことができます。
現在お仕事をされていない方は、収入を得られる仕事に就く事で、活かすことができます。
防災関連の仕事に就くには?
防災士の資格を取られた方の中には、「防災」自体を仕事として取り組みたい方もいらっしゃるでしょう。
ただ、防災は「もしもの時への備え」なので、日本全体として考えると主たる産業にはなりません。
ただ、企業レベルになると、防災を主たる業務にしている会社は色々あります。
なので、防災を仕事にすることも十分可能です。
防災士とセットで取得すると就職に有利な資格や、就職・転職については、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
この記事では、防災士の資格の取り方について、はじめての方にも分かるように、なるべく専門用語は使わずに、詳しくご紹介しました。
防災士の資格は、特別決まった仕事があるわけではなく、お金儲けなどには直結するものではありませんが、災害への備えや対応を万全にするためには、役に立ちます。
お金より大事な命を守るために、防災の正しい知識や技能を身に付けておくことは、意義があることから、人気の資格となっています。
その人の考え方や状況により、個人、地域、職場など、幅広く活かすことができるでしょう。
この記事が、少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。m(_ _)m
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